「そんなに振られるんだ?」

「そそ。顔はすんげぇ綺麗のに、すぐ振られるらしいよ」

「そんなに綺麗の?」

「うん、かなり」

「俺見てみてぇー。敦、紹介してよ」

「あー、無理無理。綾乃ちゃん、年下に興味ないらしいから」

「ちぇ、残念」



2人の会話を聞きながら、
何が残念やねん。と思ってしまった。


思った後に、

なんでやねん!

って自分自身に突っ込みを入れて、また意味わからん。



そのまま、また寝る気にならず俺が部屋を出ると
ちょうど隣の敦の姉ちゃんの部屋のドアが開いた。



「あ……もしかしてトイレかな?」



ヒョコっと顔を出したのは。綾乃と呼ばれていた、あの女で。

突然過ぎて驚くことすら出来なかった俺は



「え……あ、はい」



そう頷くだけだった。



「そっか」



そう言って、また部屋へと戻りドアが閉まる。



あ、もしかしてトイレやったんか?

バタンと聞こえたドアの音で、ようやく動き出した俺の頭の中。


だって、こんな風に会うとか思ってへんやんけ。




この瞬間。

俺は気付いたんかもしれん。


この人が、綾さんが気になってるって。



その場にしゃがみ込み、頭をガシガシとかいた俺は
高鳴る動悸の意味を理解出来んくて。


何でこんなに気になるねん。


そうとしか思われへんかった。