それ以来、
敦の家によく行くようになった。
そして何も気にしてないふりをしながら
「敦の姉ちゃんは?」
毎回こう聞く癖が出来ていた。
何を期待してる?
何を思ってる?
何を……何がしたい?
そんなんは俺が聞きたい。
勿論、そんなに上手く行くわけはなく。
何の期待をしてたか分からん俺は、次第に忘れかけてた頃。
敦のベッドを占領していた俺が眠りにつこうとした。
「もー誰とも付き合わないっ!」
窓を開けていた敦の部屋までとハッキリ聞こえた声に、その場に居た皆が驚いた。
あ、あの女や。
そう気付いた俺は、ムクッと起き上がった。
「あー、綾乃ちゃん。また振られたな」
ゲームのリモコンを持った敦が、ケタケタと笑う。
「綾乃ちゃん?」
一緒にしてた奴が敦に聞くと
「姉ちゃんの友達なんだけど、振られたら姉ちゃんに愚痴りに来るんだよな」
そう言った。