「ううん、助かった。
これ昨日買ったばっかなんだ。
ありがとねっ♪」



グロスを鞄に入れると、
立ち上がり改札へと行ってしまった。



ふんわり優しい香りと、
キラキラ輝く笑顔。


という余韻を残して。




気付いた時には、
だんだん小さくなる背中を必死に目で追ってた。


沢山の人が居るのに、
何故かその女の背中だけは色が違って見えた。



ホームに到着した電車から、
また流れ出して来る人々。

いつもと同じ。



なのに、どうして?

あの女だけは?