「コーヒーでよかった?」
「あ、うん。寒かったし暖かいのんが嬉しい」
家のコーヒーカップを持つ仁が居て。
あたしの入れたコーヒーを飲んで。
美味しいとか笑っちゃって。
駄目だ……
「仁、あたしビール飲んでいい?」
「え? ええけど」
こんなの素面のままじゃ無理!
冷蔵庫からビールを取り出したあたしは、
何も思わずつい、いつもの癖で聞いてしまった。
「仁もいる?」
「は? ……や、俺はいい」
「あ、そか。バイクだもんね。でも1本くらいなら、ちょっと寝れば大丈夫……って駄目じゃん! 仁、高校生だったんだ!」
やっと思い出したあたしは慌てて謝った。
高校生に飲酒勧めてどうすんのよ!
……今まで連れまわしてた居酒屋とかも本当は駄目なんじゃん?
飲んでないとはいえ、居酒屋とか大人としてどうなの、あたし!
一人考え込んでいたあたしに、
「綾さん? それは、誘ってるんすか?」
「ふぇっ!?」
突然引き戻された現実の言葉に驚き過ぎて、変な声を出してしまった。
視線を向けた仁が、口を押さえ上目遣いであたしを見つめていた顔が。
恐ろしく、かっこいいんですけどっ!!!