――グイッ
俯いてるあたしの腕を突然
引っ張るとグングン歩き出した。
目の前には、
“にゃんニャン”
って何ちゅー色気のないラブホ名!
まぁ確かに、にゃんニャンするけどさ。
「じじじじっ、仁ー?」
ドンドンツ近づくにゃんニャンの看板。
『入っちゃうの?』
と焦り……
硬く目を閉じたのに。
……あり?
「……仁? 通り過ぎたよ? にゃんニャン」
「入りたかったん? にゃんニャン」
くぅ~!
一本取られたぁ。
目線はにゃんニャンに釘付けなあたしに降る、ちょっと意地悪な声。
見上げれば、未だ不敵な笑み。
あぁ、その顔もかっこいいっす。