夜の街・・・
人ごみの行きかう中。
なぜだろう?
一瞬、
時が止まった気がした。
君を見た、瞬間。
君は、私の同級生。
名前は、
中町 俊(ナカマチシュン)。
ギター少年。
君は、歌う。
夜の街で・・・。
「なにか、リクエストありますか?」
君は、私を見た。
「島田 悠里(シマダユウリ)さん?」
そういって、君は微笑んだ。
こうして、私と君との・・・
物語は、始まる。
わがままで、
ばかで、
単純で、
こんな私が、
初めて・・・
本当の恋をした人、
本当に愛した人は、
君でした。
ギター馬鹿で、
かわいくて、
おちゃめで、
笑顔が素敵で、
そんな、
君でした。
夜の街・・・
その中で、
君が、隣でギターを奏でる。
単純コード。
だけど、
深くて・・・
君のギターを聴いてると、
心が、癒される。
「あの、」
君が、不意に口を開く。
「いつまでいるんですか?」
「ぅーん、いつまででも?」
そして、私は微笑む。
「じゃぁ、」
「ん?」
「歌ってください。」
「はぁ!?」
私は、立ち上がる。
「なんで!?」
「だって、俺・・・歌えないし。」
たしかに、
今まで、歌ってるところを、見たことない。
でも・・・
音痴って思われたら、
嫌だし。
私が、考えてると、
「そんなに、考えないで」
そう、君が言った。
「とにかく、歌いましょう?」
ふっと、笑う。
「YUKAの一度で、いいですよね?」
わざと、誰でも知っているような曲を君はいって。
その優しさが、身にしみて・・・
そして、
ギターを奏で始めた。
「♪~~~♪~~♪~♪♪~~」
私は、歌う。
気持ちがいい。
音楽と、私が一個になったみたいな感覚。
心が、スカッとする。
こんなに、
大声を出したのは・・・
いつ以来だろう?
こんなに、
ちゃんと歌ったのは・・・
いつ以来だろう?
そして、曲が、終わる・・・
~パチ、パチパチパチ・・・
拍手の音。
目の前には、
たくさんのお客さん。
こんなにも、
たくさんの人が、
拍手してくれて。
気持ちよかった。
そして、
「あんた、歌・・・上手いじゃん」
そう、君は言った。
その言葉が、嬉しくて。
胸がキューっとなって。
君の言葉だと、
凄く嬉しかった。
普段の、何気ない言葉も。