そっか。



郁、好きな人いたんだ…。



「紗枝は?」

「あたしもいるよ」



郁だよ…。



「郁の好きな人はどんな人?」



せめて、これだけ聞こう。



聞いてみてあたしが勝てそうもない子だったら、諦める。



うーん、とまた考えてる様子の郁。



「いつも一緒にいてくれて、なぜかその人の前だと本当の自分でいれる」

「それに、明るくて元気をもらえるんだよな」



そう言った郁の顔はすごく優しい顔だった。



始めてみる顔。



郁にそんな顔をさせることができるなんてすごい人だな…。



きっと、あたしなんかじゃかなわない子。