帰り道。
いつものように郁と帰っていた。
あたしは今まで迷っていたことを聞いてみることにした。
あのときはまだ郁を好きだなんて気づいてなかった。
何気なく聞いた一言だったけど今はちがう。
……よし。
「郁って今も彼女いないの?」
言った!
「なんだよ紗枝。また俺の心配してくれてんの?」
「あ、えっと…うん」
本当はちがうんだけど…。
「そういうのは気にしなくていいって前も言っただろ」
そう笑いながら言う郁。
「…じゃあ、好きな人はいるの?」
「急にどうしたんだ」
とまた笑顔で言う郁。
だけどあたしの真剣な顔をみて、笑うのをやめた。
そして。
「うーん。いるのかもな」
そう答えた。