ユリの家から帰ったあたしは、不安がつのるばかり。
ベランダに出て星を眺めていた。
はぁぁ〜。
つい、長いため息をついてしまう。
「どうしたんだよ。ため息なんかついて」
急に聞こえてきた声。
ビックリして振り返ると、やっぱり郁だった。
「何かあったのか?」
「……」
そう聞かれて、思わず黙ってしまった。
郁のことを考えてた、なんて言えるはずがない。
「…何があったか知らねーけど、元気出せよ」
ポン、と頭に置かれた手にドキッとした。
なぜか、安心できる温かい手。
今まで悩んでたことがなかったかのように、ホッとしてしまった。