電話帳から郁のページを開いて発信ボタンを押した。



プルルル…



「もしもし」

「郁?突然ごめんね」

「別にいいけど。どうした?」

「お昼ご飯、何食べたいか聞こうと思って」

「作りにきてくれんの?」

「うん。お母さんにも言われたし」



郁、聞いてないのかな?



「わざわざいいのに」

「え?」

「紗枝も予定とかあるだろ?」

「大丈夫だよ?あたし、今日は一日中ヒマだから」

「そうか」



なんか郁、おかしい?



もしかして、あたしに会うのがイヤとか?



そう思うと、まだ繋がっている電話に何も話すことができなくってしまった。