それから少しして郁と郁のお母さんは帰っていった。



「紗枝、郁くんとはどうなの?」

「どうって…。今日会ったばかりだしどうもこうもないよ」

「それもそうねぇ。でも、これから毎日会えるのよ?」

「イヤでも会わなきゃいけない、の間違いでしょ」

「グダグダ言ってないで早く郁くんとどうにかなっちゃいなさいよ」

「………」



これでも親か、あんたは。



どうやらあたしと郁をくっつけたいらしい…。



「ただいま〜」



お父さんっ!



「おかえり〜!」



お父さんはお母さんと違って腹黒くない。