腕を掴まれて壁に押し付けられて、身動きがとれなかった。



京哉先輩は、いきなりあたしにキスをしてきた。



無理やり入ってくる先輩の舌が気持ち悪くて、苦しくて、泣きたくなった。



強引に体を触られても、それに抵抗することすらできない。



チャイムが鳴って、先輩はチッと舌打ちをしながら帰っていった。



そのあとあたしは先輩のタバコのことも言わなかったし、先輩も廊下ですれ違ってあたしをみても何食わぬ顔だった。



このことはユリにしか話さなかったし、広まることもなかった。



途中でチャイムが鳴ったから、最後まではされていない。



それでも、無理やりそういうことをされたというのは、ショックが大きかった。



しばらく男の人が怖かったし、そのときのことを思い出すと眠れなかった。