触られた体が、固くなった。 無意識に力が入って、 郁を、拒絶してしまった。 「いやっ」 そのときの郁の顔はよく覚えている。 驚いた顔をして、そのあとひどく傷ついた顔をした。 「ごめん。いきなりごめんな?」 「違うの…。嫌だったわけじゃ…」 そう言うあたしの言葉を遮って聞こえてきた郁の言葉。 「もうしないから、泣くなよ…」 え? 自分の頬に手を当てる。 あたし…泣いてる。