「ところで、どこに行けば喜ぶかな。」


香澄はそう言って、ケンジの方をちらりと見た。


その視線につられるように、ほかの三人もケンジのほうを見る。



「俺は、半島の先にある街に連れて行ってやりたい。」


「半島の先?」


他の三人がケンジの真意を図りかねている中、土門だけがその意図を理解した。



「花火…、だな?」


土門の問いかけに、ケンジは小さく頷いた。



偶然見た遠い遠い花火の輪。


小さなころからこの街を出たことのない裕美が、うっとりと眺めていたあの美しい輪。



二人が眺めるその後姿は、土門にとって鮮烈に残っていた。


本当にお互いのことを想いあって寄り添うその後姿を見て、応援してやろう、そんな決意をしたのを今でも土門ははっきりと覚えている。