横から尾上が覗き込む中、土門がそのノートのページを一枚ずつめくっていった。



そして日記が終盤に差し掛かってくると、二人の表情は凍った。


戸惑ったような表情で、土門がケンジの顔を見た。



それに応えるように、ケンジは無言で頷く。


土門は一通り目を通すと、呆然とした表情で向かいに座る香澄にノートを手渡した。


土門からノートを受け取った香澄も、そこに書かれた予想外な内容に言葉を失った。



テーブルには静寂が舞い降りた。


店内では、壮大なカンツオーネが静かに流れている。