普通ではない。
 それって一体何だ?

 再びシャリンという金属音が響く。その瞬間、頭のてっぺんから足の先まで電流が走り、寒くもないのに全身が震えた。

 恐怖ではない。
 畏れだ。
 これは、存在そのものが、何か超越した・・・


 周囲の闇が一段と深くなる。
 月が隠れた。
 星が消えた。
 雲だ。
 雲が一気に夜空を埋め尽くしているんだ。


 少女は右手に持った杖を地面に下ろし、いつの間にか左手に持っていた丸い石の様な物を天に翳した。

 あれは宝珠だ。
  いつだったか、祖父が話してくれた。宝珠は神様の一部だと。


 膝に力が入らない。
 顕現する力に、僕は余りにも無力だ。

 その時、少女が呟いた。いや、少女の言葉が頭の中で声に変換された、と表現した方が正しいのかも知れない。