少女はずっとそこにいた。

 その事に気付いたのは、20時過ぎにコンビニに行く途中だった。


 この辺りに殆ど街灯はない。道路際にポツリポツリ点在するだけで、日が落ちるとかなり暗くなる。自転車のライトだけでは、ハッキリと分からないくらいだ。

 出来るだけ夜に出歩かない様にしているが、数学のノートが尽きてしまい、川向こうのコンビニに行かなければならなくなった。

 ため息を吐きながら橋を渡っている途中、車のヘッドライトが土手を照らした。


 人影・・・
 人影?
 間違いない、あの少女の影だ。
 急ブレーキで止まる。
 暗闇に目を凝らすと、やはり少女の影がうっすらと見える。

 慌てて引き返し、土手の上を自転車で急ぐ。

「こんな時間まで、一体何をしているんだ!?」

 さすがに、これを見過ごす訳にはいかない。