その翌年


デパートで、偶然にもレンたち家族に出会った。
世の中以外と狭い…



一瞬で


私はレンの顔が赤くなるのを見逃さなかった。



明らかに意識…

わざと遠くを歩いている。
子供と奥さん…初めて見た。



レンを奪った人。



細くてキレイな人…
性格もよさそう…

レンが選んだ人は…
目の前にいるあの人…


家族みんなで幸せそうに手なんかつないで歩いていた。

これが現実。




・・・ねぇレン?




もしも、



あの時・・・




赤ちゃんが出来ていなかったら…



それでもレンはあの人と結婚していた??





最後にレンに会った時…

これだけは、どうしても聞けなかった…

本当は一番聞きたかった事なのに…




一度も結ばれる事はなかったけれど、惹かれあっていると確信していた



だから
ここまでずっと好きでいられた…


言葉なんか交わさなくても大丈夫だと思っていた


相手のことを思う気持ち…優しさ、いっぱいもらった


それだけで充分だと
ずっと思っていた…



だけど…
一度でいいからって考えてしまう…



少しの間だけ

抱きしめてくれたらって思ってしまう…