今日向かうのは
名のある資産家たちだけが集まるパーティー。
全国、世界規模で有名な
望月は毎年呼ばれているパーティーだ。


緩やかに車が停車し
ドアが開かれる。
いいよと断っているあたしの言葉に耳を貸さず
腕を取り歩き始めた兄を見つめながら
歩く。


エントランスを抜け
エレベーターに足を運んだ。


ボタンを押すと
それほど時間がかからずに
会場に着いた。


エレベーターの扉が
チーンと可愛い音をたてて開いた。

コツ。

あたしのヒールの音が響いたとたん
会場内の大人たちがこちらに視線を向けた。


「これはこれは、
望月様。 本日はご両親はご出席にならないようで?」
内1人の老人がこちらに歩み寄ってきて聞いてきた。

「今夜は父は多忙なようでして。 母はすぐに来ると思いますよ」

丁寧に、しかもきらきらと言ったのは
言うまでもなく猫かぶり男だ。