「いーよ、優兄。
1人で歩けるって」
「やだね。
心配だから、はい、掴まって」
強引に腕を握られて
優兄のたくましい腕に絡められちゃった。
とほほ。
お乗りください
と礼をして車のドアを開けられて
中に乗り込む。
すぐに車は発進した。
「ねぇ香奈、何でもう1つの
ドレスにしなかったの?」
優兄の言葉に北斗兄も同意して頷く。
「あたしにあのドレスを着ろと?」
うん、
と頷かれた。
この変態兄貴どもめ!!!
「ご期待に添えず申し訳ございません---」
嫌みたらしく言っておく。
目線を窓に向けた。
街のネオンが目に入る。
騒々しく感じた車内が少し
静かになった気がした。