泣き続けるあたしを、知哉は車に乗せた。

「ほら、指輪つけてみようよ」

言われて左手を出すと、知哉は不器用にあたしの薬指に指輪を通した。

あたしは真新しいその指輪をドキドキしながら眺めていた。

「嬉しい…。あたしも知哉に指輪つけてあげる」

「あ、う、うん」

知哉は照れながら手を出した。
あたしも彼の薬指に指輪をつける。

「結婚式みたーい」

「えぇ?ちゃんと教会とかでやろうよ!里佳のドレス姿とか見たいな」

「うん!」

これはすでにプロポーズだった。

ドキドキと涙が止まらない。

空と地上には満天の星が、あたし達を祝福してる。

「軽井沢なんかの教会とかいいよね?」

「ドコだっていいよ!知哉とならドコだって」

「もう少し希望とか欲しいんだけどなぁ。新婚旅行は?」

「熱海」

「はっ…熱海?!何年前の新婚旅行!?」

「だってお母さん達が熱海に新婚旅行して、良かったって言ってたんだもん!」

「じゃあ熱海にも行くけど、ハワイにも新婚旅行として行くってのは?」

「単に知哉がハワイに行きたいだけじゃん?」

「まぁね」


あたし達は笑いながら未来の約束をたくさんした。