言おう言おうと思っていても、ためらってしまう。

普通に考えたら嫌だろうなーって。

舞菜が好きだから。
好きだから、失いたくないから言えない。

言いたいのに

隠し事なんかしたくないのに。

はぁ…
でも、言えないよなぁ


「どしたの?滉一。あんまり美味しくなかった?」

「そんなことないよ!ご飯は美味しいよ!」

「ならいいけど…」

舞菜はジッと俺の顔を見て言った。

「あれっ、ちょっとゴメンね。なんかズレてるみたい」

そう言うと、彼女は俺の頭に乗っている『秘密』を直した。

  はっ…!!!

はぁぁぁぁ!?

「ま、ま、ま、舞菜?!い、い、今っ…」

「だっておかしかったんだもん」

「そうじゃなくて、俺の頭のこと───」

「?」

「知っ…」

「ああ~!カツラの事?だいぶ前からわかってたわよ」

「!?」

俺は頭が真っ白になった。

「どうしたの?やだぁ、ほっぺにご飯ついてるけど」

舞菜は笑いながら俺のほっぺのご飯を取って

放心状態の俺にキスをした。

「滉一は滉一じゃないの。カツラくらい気にするなって」

今までの俺の悩みって…


舞菜のフツーな態度に俺は呆然とするだけだった。