だけど、ゆっくり帰ってる余裕はない。
舞菜を待たせてるし。

車を飛ばして家に帰ると、エンジン音に気づいた母親が飛び出してきた。

「滉一?!」

「ほら、無事だろ?俺も車も」

「…本当だわ…」

「な、詐欺だったんだって!」

「嘘でしょ…あんなことテレビのニュースだとばかり…」

「俺もビックリしたけどね。でも良かったじゃん!騙されなくてさ」

「そうね…アハハ…」

力が抜けたのか、母親がペタンと座り込んだ。

「おい、どうした?」

「安心したら力抜けちゃって…立てないわ」

しょうがないなぁ…

「ほら、肩貸すから」

「ゴメンねぇ…でも本当に良かったわ…」

俺は母親を支えて家の中に入った。

とりあえず母親を椅子に座らせる。ちょっとした重労働に暑くなって、俺はかぶっていた帽子をパッと取った。









   パサッ…







  ?!!!!!!!!





俺と母親との間の空間に、『俺の秘密』が無惨にも落下した。




はぁぅあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

その間の時間
およそ0.5秒。



俺は死んだと思った。