舞菜の強い口調に圧倒されて、俺はそれ以上反論する事はできなかった。

『で?!どうするの?』

「あ、うん。行くよ」

『分かった。待ってるね』

最後は普通な感じで、舞菜は電話を切った。

………。

もし舞菜と結婚したら…絶対に鬼嫁になるよなぁ…

わかっていても、彼女の事は何故か好きだった。

変な俺。

まぁ、いいや。考えないようにしようっと。

車のエンジンをかけた所で、また電話が鳴った。今度は家から。

「もしもし?」

『あっ?!こ、こ、滉一!?滉一なのっ?!』

電話をかけてきた母親が慌ててるのが分かった。
何か嫌な予感…

誰か事故にでも遭ったとか、親父が死んだとか言われるんじゃないかと思って、ドキッとした。

長男の俺は、出来るだけ平静を装った。

「母さん、どうした?」

『あっ、アナタ、だ、大丈夫なの?!さっき、さっきあんなに…』

「なんだよ?」

『事故で…人をはねて死なせたから…金を振り込んでくれって…泣いて、取り乱してたじゃないの!!』

…は!?

『自殺とか考えちゃダメよ?!母さん、家中のお金かき集めたから!!ちゃんと謝って償えばいいのよ!?』

…やれやれ

騙されたな。