「男が出来たら色気って出るもんなの?!上手く隠してるだけかもよ?」

「なんとなくの雰囲気は変わるよね。どう?当たりでしょ」

ガーン…

当たってるけど
当たってるけど

「'初カレ'できたらちゃんと教えてよね?」












────はぁ………

朋花にはみんなお見通しか…中学からの付き合いだもんね。

私には今までの人生で付き合った人はいない。

キスもまだ。
当然ヴァージン。

結局、昨日は
あれから朋花先生の恋愛に関するレクチャーを二時間も聞くハメになった。

何度も聞かされて
わかってるけどさ

「高校勤務なんて…案外出会いがないんだもん」

そう呟きながら、腕時計を見た。

「あっ、もう授業始まってるじゃん」

私は保健室のカーテンを半分閉めて
バッグから双眼鏡を取り出した。

誰も来ないのを確認すると…カーテンの下からこっそりと
双眼鏡で向かい側の校舎を覗いた。

「…いたいた」

向かい側の校舎。
一階にある科学実験室。

この時間は2-Cが授業に使ってるのを知っていた。

私のお目当ては
2-Cの『阿部 健史くん』

週に一度。
彼を双眼鏡で見るのが趣味な私は

やっぱり変態?