そう言った瞬間、彼女の目から涙がこぼれた。

「牧野さん…あたしセフレでもいいんです。本気なんです。じゃなきゃこんなバカみたいな事しません…」

「悪かった!」

オレは慌てて床に座って彼女に土下座した。

「君を受け入れられないのはわかってるのに、ちゃんと断らずに胸とか触ったりして…本当に悪かった!ゴメン!」

例え彼女の望み通りにしたって
例えオレが彼女を拒否ったって
どちらにしても彼女を傷つける事には変わりない。

中途半端に触れたオレはアホだ。

「ま、牧野さん」

「気が済むまで殴ったっていいよ!こんな男…嫌いになったろ?」



彼女はしばらく黙って、スッとオレの前に座った。

「…もっと好きになっちゃいました」

「──は?」

「思っていたよりもずっと牧野さんは優しいんですもん。ごめんなさい、こんな事して」

「小松」

「…迷惑でしたよね。それに、二人きりになりたくてワザと残業したんです」

「…」

「ハッキリ断ってもらってよかったです。でも、もう少し…好きでいるだけならいいですか?」

「うん…ゴメンな」

「よかった…!」

彼女は可愛いらしい笑顔を見せた。