思った通り、真奈美は主婦らしく(?)ワイドショーネタに食いついてきた。

いやいや、オレもかなり驚かされた事件だったんだよね。

それを得意気に真奈美に話して聞かせた。

「家族の住む家とは別にアパート借りて、そこに女のコを連れ込んでたんだって」

「えー?家族にバレなかったのかな」

「本人から聞いたわけじゃないからホントかどうか知らねーんだけどさ、二重生活だったらしいよ。
家族にも女にも'出張'とか言って家とアパートを行ったり来たり…

実際は出張なんてしたことない人だったんだけど」

「なんか怪しくなーい?!そんなのに気づかない奥さんって…私なら疑っちゃうな」

「スッゴい手口が巧妙だったら?」

「…完全犯罪って世の中にはほとんど存在しないのよ?男の浮気なんてすぐバレるわよ」

そう言うと真奈美は時計を見て時間を確認し、ベッドから起き上がった。

「涼、シャワー浴びましょ」

真奈美はオレの手を引き、風呂場へと向かった。
彼女はシャワーを適度な温度に合わせると、オレの身体に残る汗を流してくれた。

しっかりしてる彼女は石鹸を使わない。
残り香ってのは厄介だからな。

用心に用心を重ねていた。