私は何もかもさらけ出したくなった。
今まで内に秘めていた感情…

恥も外聞もない。もうすぐ死期が訪れると知って、誰かに聞いてもらいたくなったのも事実だ。

「身体を求められないなら…せめてキスだけでもって思ってたけど、それもダメでね…

つい、こんなところへ来てしまったんだ…」

「そうだったの…」

私は自身の醜い自分勝手な告白を申し訳なく思った。

「すまないね。こんなつまらない話、若いキミに聞かせちゃって。キミの未来はこれからだっていうのに…」

「いいえ。教えてくれてありがとうございます。それに、つまらなくないですよ?

古島さんは一途な人なんだなって印象を受けましたし」

彼女はちゃんと、私の目を見て返事をした。私も

彼女の目から離れられない…

これが催眠術なのか?


いつの間にか、暗示にかけられて──だから素直に自分の思いを彼女に打ち明けられたんじゃないのか?

心のどこかで、そう思ったけど…吐き出せた事に少しスッキリしていた。

彼女の優しい声が頭の中に響く──…



「…古島さん、ゆっくり目を閉じてくださいね…」

言われるままに瞼を閉じた。

──浮かぶのは、『妙』の懐かしい笑顔…