「はははっ、悪い。」
無邪気に笑っているものの般若は出たままだ。
目も笑っていない。
「おらぁ!席につけぇ!」
ガラッ、と教室のドアが勢いよくあいた。
どうやら足で蹴ったらしい。ドアがへこんでいる。
また一つ、教室のキズが増えた。
「朝から暑苦しいですよ、先生」
謙一が笑顔で答える。
「ほぉぉ?先生にそんな口聞いて良いと思ってンのかぁ?謙一ぃ!」
どしどしと謙一の机まで近寄り、バシン、と机を叩く。その音にピク、と遑が反応した。
「やだなぁ。生徒なんかの言葉を間に受けないで下さいよ?大人でしょ、先生ッ」
ニコニコとした笑顔が怖い。
「先生なぁ、人間そこまで出来てないんだ。だから殴っていいか…「ンァ?」」
ゴンッ