「じゃあさ、」


くるりと周り謙一に背中を向けた。


「…なんだよ」


「んーん。なんでもないや」


特に困った様子もなくふ、と笑ってみせた。

「…ちゃんと笑えよ。気持ち悪ぃ」


「え…」

さあ、と舞っていた風が女の子をさらうようにいなくなった。


…なんだ?
…俺か?俺のせいなのか?!

うぇえ?!と言いながら消えた方から最初いた所を交互に見渡した。


「…はぁぁあ…んだよ」


深いため息をつきそのまま学校に向かった。
その背中はどこか、寂しげに見えたような、気のせいか。