マンションに着くのがやけに速く想われた。ある筈のない椅子に一時座らされ、再び抱えられ歩き出す。
「イイです。自分で部屋に・・・・・」
そこまでで記憶が薄らいだ。
抱きかかえられた感触のまま、ドンと容赦なく落とされた柔らかな上。
涼とは違うコロンが鼻に衝く。そして、首筋に生ぬるい感触が這う。
それが、自分に愛情があるかないかは直感出来た。
「いやぁ~・・・」
必死でもがき、酔いの中で抵抗していた舞。すると、驚く事に平手打ちが飛んで来た。
「静かにしなさい!」
両腕を肩上に掴まれて、激しく抵抗する。脱がそうにも脱がせられないと見越し、自由になる右手で服を力任せに引き裂いた。その力強さは50代とは想えない。この夜の為に買ったばかりの服が切り裂かれた。

さっきまでが嘘の様な振る舞い。
ギラつくその顔には唾を吐き掛け必死に抵抗した。しかし、再び手が飛んで来る。
何時しか身に纏う布は引き裂かれ哀れな姿。両足に切り裂かれたストッキングと割かれた下着が見る影もなく残っている。
最早信頼出来る愛する人の叔父では無く。ただ、本能を貫こうとするオスでしかなかった。

自分の服を脱ぎ去る一瞬その手が緩み、舞は隙をついて逃れようとした。すると逃げるなとばかりに髪を掴まれ、ふら付く身体が壁に頭を打ち付けて倒れ込む。

意識を戻したその時には、身体の上に荒い息を吐いたオスと化したギラギラする獣が、最後を迎え様としていた。気を失う相手にまで、緩めない行為。成す術を失い天井を仰いだ。