「えーと、あたし、どうなったの?」


胸のどきどきが止まらない。

不安とか、緊張とか、いろんなもののせいで。


バクはあたしの隣にしゃがんでいたけれどすっと立ち上がって、両手を組みながらこう言った。


「おめでとう、晴れて君は『貘』の仲間入りです。俺も『貘』から戻れないまま」


「っそ……!?」


「全く、こうなるんだったら普通に俺に食わせてくれればよかったのに」


と言って、バクは苦い顔をする。

それからまた諦めたようにふうっと息を吐いた。


「まー、諦めるんだね。次の『貘』の素質を持つ者の心を食べるまで、『貘』のしがらみからは解放されないよ」


「人の心を食べていかないといけない、ってやつ……?」


よくわからない世界に足を突っ込んでしまった……

少しだけ気落ちしたあたしと対照的に、バクはにいっと笑うのだった。