あたしは一本道を導かれるように歩く。

そのうち、真っ黒い塔を見つけた。


あぁ、あたしは、知ってる。

いつもいつも、ここからあの塔を見つけるんだ。

高すぎて、まるで空に刺さっているようにも見える塔。

あそこに行けば、なにかあるんじゃないかって。

ひたすら平坦で、背の低い黒いなにかばかりがごちゃごちゃしてるこの世界では、あの塔はあまりにも異質だった。

あの、見上げればあたしの視界を黒く縦にまっぷたつにするような、高い高い塔。


なにがあるんだろう。

思いを巡らせて、歩く足を早める。


だけど、知ってるんだ。

あの塔にはいつも辿りつけない。

その前に夢が醒めてしまうから。


あぁ、なんて渇いた気持ちだろう。

もっと楽しいものを見せてよ。

いつもいつも同じ夢を見て、望みも叶わないまま夢から醒めて。

リセットボタンを押したみたいに最初からやり直し、だなんて。