これは昨日見た夢と同じなんだって分かっても、次に何が起きるかはわからない。

過ぎてから気がつくから。

夢の中での、デジャヴ。

あたしがこう思ったのだって、こう動いたんだって、こういう光景を見たんだって、過去形。

だけど、知ってるんだ。

あたしはこの夢が初めてじゃないって。


気づく前から知ってることはいくつかある。

世界に彩度がないこと。

この夢をみるたびに、あぁ、またかって思う。

それから、光がわからないこと。

辺りの黒いなにかは地面に影を落としているけど、ひどくぼんやりしていてはっきりした影がない。

あたしの足元も同じ。

ぼけた影を見ると、まるで自分の存在が不安定になってるみたいで嫌だから見ないようにしてる。

空を見上げたって眩しくなくて、ただただ白が広がってるだけ。

地平線と空の境界なんて分かりゃしない。

どっちも白いんだから。


遥か彼方の向こう側で、どちらともつかずに溶けていく。