次の瞬間、あたしは無意識で動き出していた。


「――っ!?」


全力で、バクを突き飛ばした。

衝撃で蝶が逃げていく。


あんたなんかに、あたしの心を喰われてたまるものか。


突き飛ばしたまま、あたしはバクを押し倒すように倒れ込んだ。

そのまま辺りが真っ白に溶けていく。


ここで、醒めるのか――


無意識にぎゅっと目をつむって、次に開いたとき。


そこで目にしたのは、あたしの部屋じゃなかった。


絵の具の全色をぶちまけてぐちゃぐちゃに混ぜたような、気持ち悪い色をした森。

極彩色の木々が鬱蒼と茂っていて、目がちかちかする。



……どこ? ここ。



きょろきょろと辺りを見回してみて、そこでふと、見つけた。