半信半疑で、そっと塔に手を触れてみる。

すると、薄いゴムの膜を引っ張ったように、地面からあたしの頭のちょっと上くらいまで、楕円形の穴があいた。


「これで、入れるね」


そう言ってバクはにっこりと笑う。

どうして、よそから来たくせにあたしの夢の事をあたしよりも分かってるんだろう。



塔の中は、黒かった。


床も壁も一面真っ黒で、艶のない影みたいな変な感じ。


だけど、暗くはない。

一応『光』は入ってるみたいだ。

どこまでも真っ直ぐ上に伸びているし、もしかしたら天井が存在しないのかもしれない。

それとも、光なんてどこからも入ってないのかもしれない。

だけどもそんなのどっちでもよかった。


壁の内側に沿うように、階段がある。

螺旋状に伸びたそれはどこまでも続いていて、上を見上げたって全然分からない。


「これ……登るの?」


「いや、上を目指す必要はないんだ。答えはここの中を飛んでるよ」