言葉を濁す私を詮索する意図も特には無いらしく、不思議そうな顔をして牧島さんはこう続けた。


「ふーん? 確かにこの学校変な競技のとか、変な名前の部活いっぱいあるみたいだよね。馬術部とかカルタ部とかほんとにあるんだー、って思ったよ」


それどころか私はちくわ部です。

まだカルタ部なんかは、確か大会があったしそこまでおかしくはないはずだ。

部活まであるのは珍しいだろうけれど、少なくともちくわ部ほどではない。


「やっぱり部活を頑張るのっていいよね。皆で一緒に頑張って成果出すのって、すごく素敵なことだと思う。陣野さんも、何部だかわかんないけどがんばってね!」


新入生らしいフレッシュなエネルギーを漲らせた牧島さんの熱に、私の体力まで削れそうだ。

いや、私が無駄に隠そうとしてるからか……


本来なら、名桜生としては牧島さんのようにあるべきなのだろう。

文武両道、何事にも全力で。

でも、ちくわ部ってどう頑張ったらいいんだろう……そもそも部活に精を出してる余裕がないからのちくわ部なのに。


中学のときも、顧問の先生があまり真面目ではなく、かなりだらけた部活だった。

私はそのころからもう家のことをやっていたため、ろくに活動などしていない。

一応、ある程度は楽器も吹けるし楽譜も読める。

しかしそれをよそで生かすこともないだろうし、ある意味過去の栄光みたいなものだ。栄光ってほど素敵なものではないが。