それから二人で帰ろうとしたが……
「君らどんだけ校舎内まったり歩いてんのよー。遠回りした俺と同着っておかしいって」
校門でまたジン先輩と会ってしまった。
そしてそのまま、流れで三人一緒に帰ることに。
「あー、そういえばもうひとりの二年生……気を付けてね」
「どうしたんですか突然。まだ会ってもいないし漠然としすぎてて分からないんですけど」
「俺やきっちーを上回る変態というかバカだから。そしてオカマでホモでマゾでチビで色々救いようがない」
「お兄ちゃん、真崎さんが可哀想だよ……」
やはり話半分で聞いておくのが正解らしい。
ジン先輩の言うことはあてにしないほうが賢明だろう。
その『真崎さん』について、奈津さんに聞いてみた。
「……うーん……明るくて元気な人、かな? わたしも、まだあんまり喋ったことがないけれど……お兄ちゃんが言うほど、おかしな人でもないよ」
「まるについて語りたいのは分かったけど俺ら電車こっちなんだよー。ねぎ子そっちぽいしここでお別れだね」
そして『真崎さん』に付けられたあだ名はどうやら『まる』らしい。
随分可愛らしいあだ名だなぁ……
「あぁ、そうですね。今日は色々ありがとうございました。じゃあ、また……奈津さんも、また明日」
「うん」
「じゃーねー」
控えめに手を振ってくれている奈津さんと、またへろへろと手を振るジン先輩。
私も手を振りながら、やってきた電車に乗り込む二人を見送った。