しかしなかなか優しく頼れる? 人なので、高校に入って最初に親しくなった先輩として、大事にしたいなと思った。


「きっちーさ、それ素でやってるとしたらかなり女子泣かせてきてるんじゃないっすか? とりあえずで口説いちゃってない?」


そしてこの人は本当になんなのだろうか。

とりあえずエロ方向に持っていくジン先輩と、とりあえずで口説き文句に近いことを言っちゃう菊池先輩……

奈津さんはというとほのかに嬉しそうにうんうんと頷いている。

きっと少女漫画とか好きなんだろうなこの子……
 


そういえば菊池先輩のフルネームは聞いていなかった。

赤外線で送られてきたプロフィールには『菊池 悠一(きくち ゆういち)』とある。

ま、普通に菊池先輩でいいだろう。


「……そういうつもりないんだけどなぁ。直した方がいいの? ……とにかく俺はそろそろ帰るよ。ジン、最後よろしくな。そんじゃ、お疲れ様ー」


「おまかせあれー」


ジン先輩は覇気のかけらも無い声で答えると、手をひらひらと振った。


そして気が付いた。


今この部室には、私と、ジン先輩と、奈津さん……



非常に間の持たなさそうなメンバーが残ってしまった。

このまま下手したら無言空間になってしまうかもしれない……!

とにかく気になる所を全部聞いて質問攻めにして、この部活について知っておこうと思い立った。


「あ、そ……そういえば、この部活って、何人くらい居るんですか?」


尋ねると、ジン先輩は顎に手をやりながら記憶を辿るかのように上のほうを見た。


「ううーん……まともに顔出すのは、三年生はきっちーだけだね。部長だからっていうのもあるけど」