「まぁそんなわけでメールで呼び出してみた。まだ学校に居ればここに来ると思うよー」


「え……不思議とご対面!?」


「はい?」

 
「お茶淹れたよー。紅茶で良かったかな?」

 
私が不思議ご対面フラグに微妙な感想を漏らしたとき、いつのまにやら紅茶を淹れていてくれた菊池先輩がティーカップを二つ持ってやってきた。

三人いるのに二つだけ? と思ったが、片方は私に差し出してくれて、もう片方は菊池先輩が自分で飲むらしい。

ジン先輩のことは、なぜだかスルー。


とりあえず、白いシンプルなカップを受け取る。

ほこほこと湯気を立てるそれからは、ストレートティーの爽やかな香りがした。


「あ……すいません。ありがとうございます」


「うわひどいきっちー。俺の分がないなんて」


拗ねるような声で咎めるジン先輩に対し、菊池先輩はひとつ息を吐いてから呆れたように答える。


「砂糖残り少ないからな。どうせお前砂糖大量に入れないと飲まないだろ?」


「わーマジすかー。砂糖買っておかないとなぁ」


確かに、今入れようと思って開けた砂糖入れの中身は少なめだったが……三人分くらいは軽くありそうだった。

これで少ないとはどういうことなんだろうか? と思っていたのがどうも気付かれたらしい。

菊池先輩が説明してくれた。


「こいつアホみたいに甘党なんだよ。それにさっきもだけどよく寝るし。お菓子か毛布あれば釣れるよ」


ちょいちょいと指を指しながらそう言った彼はどこか無邪気な子供のようだった。

……なんだか、仲良いみたいだなぁ。