「何のツテもなしにこんな部活の存在を知る方が難しいよー。だから彼女連れ込んでいやら……まあいいか。それよりきっちーもねぎ子も突っ立ってないで座ってくださいって」


勧められるまま、ジン先輩が陣取っているソファの向かいのソファに、菊池先輩が腰を下ろした。

私はどこに座るべきか迷ったが、菊池先輩の隣に、少し間を開けて座る。


「こんなとこに来てるってことは、真面目に部活をする気がないんだね」


「はい。やってる暇なんて無いので……楽そうな部活を探そうと思ってはいたけれど難航していた所に、菊池先輩が声をかけてくれたんです」


「ほーらナンパだ。やっぱりきっちーはナンパっすねー。女子に目を付けるあたりがエロいね。やらしいっすねー」


すーけーべ、すーけーべとすけべコールをしながら手をぱんぱんと叩くジン先輩。

むしろ変態はこの人のほうな気がしてきた。考え方のベクトルがどう考えてもおかしい。


「お前の中で俺はどういうキャラ付けなんだよ……」


「ねぎ子に刷り込みたいだけっす。それよりねーねー、メアド交換しようよー」


また携帯を取り出して、画面をぱっかぱっかと開けたり閉めたりしている。

そして今気付いたがこの人立ちあがったら絶対背が高い。

それなのに仕草や言動や思考回路がやたら幼い。

どうなってるんだこの人は……


「そういうこと言うと、ジン先輩のほうがナンパっぽい気がしますけど」


「ううん、チェンメとか変な画像とかいっぱい送りつけてあげたいだけだからいいんだよー」