「俺そんなナンパキャラじゃないのにー……誤解させんなよな」


「きっちーだもん。鬼畜のきっちー。んでー、どうしよっかなぁ。しっくりくるのが思いつかないや……」


「思いつくって、何をですか?」


「ジンはあだ名を付けたがりなんだよ。俺にもきっちーだのなんだの……女子にはそれなりにまともなの付けると思うけど」


どうやらジン先輩は、見た目は美形でも中身はかなり変わった人のようだ。

さっきからぶつぶつと、私の名前をフルネームで呟き続けているが正直やめてほしい。


「だめだ、インスピレーションが働かない……思いつくまで『ねぎ子』ね」


そしてまともじゃないあだ名が付いた。



呟きが私のフルネームからねぎこねぎこに変わっている。

しかもうんうん頷いているあたり、本人もしっくりきてしまったのだろう。

既にジン先輩の中で、私はねぎ子に決定のようだ。


「今年の一年で知らないのが入部するのはねぎ子が最初だなぁ。せっかくだしみんなにメールして呼び出して騒ごうよー」


「え、いや、私まだ仮入部段階なんで……」


「……そう? 残念」


ポケットから取りだした携帯を開いたがまたぱたりと閉じてポケットに突っ込んだ。

わあ、こんな不思議な人でも携帯電話は持ってるんだーメールとかするんだーとかものすごく失礼なことを思ってしまったが口には出さないでおく。


「もう入ってる一年生、いるんですか?」


「二人、ね。どっちも入部前から俺らの知り合い……というかジンの関係者なんだけど」