「お願い、柚にしか頼めないの」

私の目の前で手を合わせているのは、私の一つ上のお姉ちゃん。




「私じゃなくても、他にいるでしょ」





なぜ、このようなことになっているのかというと…









‐数時間前‐


「ねぇ、柚。私が卒業したらさ、野球部のマネージャーいなくなるじゃん?」


急に私の部屋に入ってくるなり、言い出した姉・風見 郁(カザミイク)。



「それがどうしたの?郁姉しかいなかったんだから当たり前でしょ、そんなこと」




「そこでさ~、柚。あんた、部活にも入ってないしバイトしてるわけでもないし、暇でしょ?マネージャーやってみない?」



「はぁ?」




郁姉の突然の言葉に開いた口が塞がらなかった。