『寂しいんならさ、俺んとこくればいいじゃん。』


何も言葉を返すことができなかった。

戸惑いと驚きよりも、それを上回る程の嬉しいという気持ちを抑えることに必死だった。



「ありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しい。」


だけど伊吹くんに寄りかかることはできない。



「でも、伊吹くんのところには行けない。」


私がそう答えても、伊吹くんの腕はほどかれないままだ。

弘人さんとのことを全部理解して応援してくれている伊吹くんに、付き合っみたら寂しかったから来ましたなんて、そんなことができるはずがない。



『なんで?』


その気持ちをどう言葉にすれば良いのか分からなくて、頭を整理している内に伊吹くんが続ける。



『少なくとも俺は、有佐に寂しい想いなんてさせない。』


さっき言おうとしてやめたことはこれだったんだ。


弘人さんと居て、ずっと超えられない壁のようにその存在が見え隠れする前の彼女さん。

どれだけ言葉を貰っても、結局心の底からは信じ切ることができていなかった自分。