「彼女なんて、女なんてもう信じられないって思ってた俺に、もう1度人を信じさせてくれた。この人なら大丈夫だって思わせてくれた。」

『先生…。』


何の裏表もなく言ってくれた言葉が全部、俺の心の真ん中にある。



「そんな有佐にとって俺は頼りない彼氏かもしれないし、和哉も心配かもしれない。」


2人はただ黙って俺の言葉を聞いている。

今日だけで、俺は何度自分のことを頼りないと言っただろう。

でもそれが俺で、もう格好のつけようもない。



「でも、真剣に付き合ってる。中途半端な気持ちじゃない。だから安心して任せてほしい。」


隣人として仲良くなってから、こんな風に真正面から向き合って話したことはなかったかもしれない。

俺のことをまっすぐに見る和哉の目は有佐のまっすぐさと同じで、やっぱり兄妹だなと思わせる。



『分かってるよ。弘くんなら大丈夫だって。』


そう言っていつもみたいに笑う和哉を嬉しそうに見る有佐を見れることが、俺は心から嬉しかった。