『良かった…弘くんに彼女ができて。』

「え、っと…」


想像していた展開とだいぶ違うんだけど…。

返す言葉を探していると、同じように困り顔で俺を見る有佐と目が合った。


…こいつ、何言ってんだ?



『俺、弘くんはもう彼女作る気ないんじゃないかって心配してたんだよ。サッカーのことも前の恋愛のこともずっと引きずったままで居るのかなって思うと可哀想でさ…。』


いつも能天気なようでいて、そんな風に思ってくれてたのか。



『でもまた彼女ができて俺嬉しいよ。しかもそれが夏波なんて最高じゃん。』

『えーっと…』


今度は有佐が言葉を失くす番だ。

やっぱりこいつ、何言ってんだ?



『弘くん!夏波以上の彼女なんて居ないよ!めっちゃ良い子なんだからこいつ!』


和哉は有佐の頭に置いていた手をまたくしゃくしゃと動かして、1人満面の笑みで笑っている。

有佐はもうされるがままだ。


めちゃくちゃ良い兄なのか、やっぱりこいつはバカなのか…。