『でもちょうど良かったわ。俺話したいことあったし。』
「『え?』」
和哉の一言に俺と有佐の声が重なる。
和哉が話したいこと…?
「いや和哉。俺も話したいことあって来たんだけど。」
『え?そうなの?またご飯食べに来ただけじゃないの?』
「違う。」
からかうように言う和哉の表情が、俺の一言を聞いて少し硬くなる。
「俺らから、話しても良いか?」
『俺ら?』
「俺と、有佐。」
その言葉に全てを察したかのように、和哉の表情は硬くなるどころか完全に固まってしまった。
そっと有佐を見ると、有佐もどうすれば良いか分からないという風に身体を強張らせている。
「和哉には、ちゃんと報告しなきゃいけないと思って。俺たち」
『ちょっと待って!』
両手を差し出して俺の言葉を制止した和哉は、その手をそのまま両耳に持っていく。
『聞きたくないんだけど、その先…』
両手で耳を塞いだかと思えば、ゆっくりとピースをするように指が開いていく。