放課後、職員室の窓から下校して行く生徒たちを眺める。
そういやもうすぐ夏休みだなと思い、学校で有佐に会えなくなるなと思う。
伊吹と話した後、有佐とのことを和哉に話そうかどうか考えていた。
伊吹は倉島のことは任せろと言ってくれた。
何か考えがあるみたいだったが、念の為俺と有佐の兄が元々仲が良いことを話しておいた。
今後のことを思うと、和哉にも話さなければいけないと思い始めている。
有佐が学校で変な男に捕まらないかと心配している妹想い…いやシスコンの和哉のことだから怒るだろうか。
俺だったらと任せてくれる可能性にかけて正直に話すしかないのだが。
ポケットに突っ込んでいたスマホが震え、有佐の名前を表示する。
『私も一緒に行きます。』
和哉に伝えようかと思うと送った俺のメールへの返事だった。
少し考えてから「分かった」と返事を送り、覚悟を決める。
立場上間違ったことをしているのは明らかだし、堂々と報告できるようなことでもない。
でも半端な気持ちで付き合ってるわけじゃないことは、きちんと伝えたい。