『学校での弘人先生だけ見てたら、誰も本当はそんなだって想像できないっすよ。そんな姿晒せるんだから、有佐はきっと安心してると思います。』


有佐もそんな風に思ってくれているのだろうか。

俺はこれで良かった。

伊吹がそう気付かせてくれた。



「お前、本当良い奴だな。」

『え、気付くの遅くないっすか?』


その笑顔につられて俺もつい笑みがこぼれる。



『まぁ良い奴らしく誰にも言わないんで安心してくださいよ。倉島のこともたぶん大丈夫なんで任せてください。』

「ありがとうな。全然それだけじゃ足りないけど。」

『本当っすよ。』


俺はちゃんと有佐を守らなければいけない。

有佐を泣かせないことが、伊吹の為にもなると信じて。



『またサッカー来てくださいね。俺も明日から戻るんで。』

「あぁ、行くよ。」

『あいつらの前では格好良くて完璧な弘人先生のままで居てくださいよ。人にはイメージってもんがあるんですから。』

「なんだよそれ。」


笑い合いながら連れ立っていつもの昼休みに戻れることに、最後の最後まで伊吹の優しさに触れた。