「でもそれだけじゃない。俺も有佐のことが好きで、俺なりに覚悟と責任を持って付き合うことを決めた。だからちゃんとこの関係を守りたいと思ってる。」


それが、今俺に言える全てだった。

謝ることでもなく許しを乞うことでもなく、ただ素直な想いを話すことだけが、伊吹と真正面から向き合える方法だった。



『やっぱ、弘人先生には敵わないわ。』


静かに聞いていた伊吹が、もう我慢できないというように笑い出す。



『なんなんすかそれ。全っ然頼りないじゃないですか！
俺なら無理です絶対。好きな子の前で格好良くない姿見せるのなんか。俺が引っ張っていきたいし、付いて来いって言いたいですもん。』

「いや、それは俺だって…」


俺だって普通に恥ずかしいし、付いて来いって言いたいよ。



『でも弘人先生にはできるんすね。有佐になら格好悪い姿も見せられる。それって、１番大きな信頼なんじゃないですか。』

「伊吹…。」


敵わないのは、俺の方だ。